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エストロゲンを補うことでつらい症状が軽くなる

田村ところがパート医をしているときに、ある文献に出会ったんです。

 

女性ホルモンのエストロゲンを補充する治療法について書いてある文献でした。

 

当時の私は、コレステロール値が上がってきていたんですが、それを女性ホルモンで治療できるという。

 

循環器の医者ですから、興味を持ちました。

 

私自身もそんなことはやったことがなかったし、周りのドクターたちもそんな方法は知らないという。

 

じゃあ自分の体で試してみようというのが、そもそもエストロゲンとのつき合いのはじまりです。

 

吉田エストロゲンって更年期のホルモン補充療法に使われるものですよね。

 

田村今は一般的になってきましたけれども、当時はホルモン補充療法なんてだれもやっていませんでした。

 

文献には更年期という文字も出てきましたが、それはそっちにおいといて、コレステロールのことだけで使ってみたんです。

 

そうしたら、コレステロールが下がるとかなんとかいう以前に、たった1日にして「今までの疲労はいったい何だったの?」というような、劇的な変化が起こったんです。

 

あれだけ皮膚がかゆくてポリポリかいていたのはなんだったの?...足の裏がジリジリして床も踏めなかったのは何だったの?顔に亀裂が入るくらいピリピリ痛んでいたのは何だったの?という感じ。

 

あんなに私を苦しめた不快な症状が、一瞬にしてパーツと消えてしまったんです。

 

吉田本当ですかどんな人でも、そんなふうに症状がなくなるんでしょうか。

 

田村それは個人差があります。

 

今思えば、私はエストロゲンとの相性がよかったんですね。

 

吉田でも、相性がいい人にとっては福音ですよね。

 

そんなに劇的な効果があるなんて……田村私、エストロゲンを服用して症状が消えたとき、オイオイ泣いたんです。

 

うれしかったからじゃないんですよ。

 

自分が情けなかったんです。

 

「私は自分が女なのに、女性のための医療のことをまったく考えてこなかった。

 

なんてバカな医者だったんだろう」って。

 

それまで私、女性のために,いい医療をしてきたつもりだったんです。

 

女性が働くことにも子育ての苦労にも共感を持って話を聞いてきたつもりだった。

 

でも、たくさんの女性を苦しめている更年期障害についてはまったく無関心で、つらさを訴えられても、「あなたがそう思うなら、婦人科に行ったら?」みたいな感じで気にもとめなかった。

 

今思えば動悸がするとか胸が苦しいとかいう不調を訴えて私のところに来た患者さんにも、更年期が原因の人がいっぱいいたはずなのに、ぜんぜん認めようとしないで……。

 

レントゲンを撮って異常がないから「きれいじゃない、問題ないわよ」なんて言っで帰していた自分が本当に情けなかった。

 

吉田それがきっかけで、現在のような女性のためのクリニックをはじめられたんですか。

 

田村そうなんです。

 

私がホルモン補充療法に救われたのが3月だったんですが、その年の12月にはもう開業していました。

 

そのとき、私はすでに57歳になっていました。

 

ふつう医師が開業するならエネルギーのある40歳代といわれています。

 

友人も家族も不安だったと思います。

 

それまでホルモン補充療法をやっているところは日本にほとんどなかったし、どんな医療かもわからなかったから。

 

でも、私は身をもつて更年期障害のつらさと、ホルモン補充療法の効果を理解してしまいました。

 

効く人には絶対に効くし、必要としている人が必ずいると確信していたんです。

 

「私がやらなくてだれがやる!」という感じですね。

 

で、いざ開業したら、悩んでいた人たちがドッと押し寄せた。

 

私自身もビックリするほどでした。

 

そこから更年期医療を本格的にはじめたんです。